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新聞部コラム「泰然自若」vol.2

「泰然自若」 vol.2

昔から伝わる夢のような言い伝えをご存じだろうか。
有名なところをいくつかあげると
「流れ星が消える前に3回願い事を唱えると願いがかなう」
「虹の根元には宝物がある」
「月虹を見ると幸せになれる」などである。
だがこれらはどれも現実感の乏しいものが多い。

流れ星は長くても一秒程で消えてしまうものだ。
「金金金!」や「恋恋恋!」とは言えそうだが、
そんな俗物的な願いを託された流れ星はたまったものではないし、
たなぼたで得た恋心はいつしか破綻するものだろう。

虹に根元はない。
なぜなら、虹は太陽光が空気中の水分に反射して七色となるため、
いくら根元の方を探しても
反射する空気中の水分の位置とそれが七色に集まるところが移動してしまい、
永久に根元にはたどり着けないのである。


月虹とはその名の通り月の光によって出現する虹で、
原理は昼間の虹と変わらないが、太陽よりも淡い月の光では白色だけのことが多く、
その場合は白虹と呼ばれる。
月虹はハワイ諸島で比較的多く見られるそうだが、日本ではまず見られない。
やはりこれも実際に見るのは難しそうである。

つまり、これらの言い伝えは私たちが見たことのない、未知の世界の話であり、
実現できないことの方が多い不可能の領域なのである。
人は自らの手の届かないところに夢への近道を置きたがるようだ。
それは暗に、安易に夢の実現を望む人間を叱咤するためのものではないだろうか。
いずれにせよ、夢を叶えるのに近道はないようなので、
堅実に努力していきたいものである。

文責:保原高校新聞部部長 M.S.